過去問演習で合格点に届かず
「ごまかし(ズル)」を始める

 中学受験では、9月は過去問演習を始めたばかりの時期なので、合格点までかなり距離がある状況です。子ども自ら、自分の気持ちのバランスを取るためや、親や塾に悪い点数を報告したくないという理由から「ごまかし(ズル)」をしてしまうケースが残念ながら一定数出てきます。

 テスト中に隣の子の答案を見るなどのカンニングを発見するのは簡単ですが、家庭で行う過去問の「ごまかし(ズル)」の方法はさまざま。大人の側は発見できない可能性が大きいです。

「解答をまる写しする」「答えを書き直す」「演習時間を伸ばす」「採点を誤魔化す」など、やり方はたくさんあります。

 模試の成績が一向に上がらないのに、過去問の点数だけが異様に高い場合は、要注意。親が不思議だなぁと思ってそのままにしていて、「ごまかし(ズル)」が発覚するのは数ヵ月先になってしまった……ということも起こり得る話です。

 今まで「ごまかし(ズル)」したことがなかった(と思っていた)親は、ショックを受けることになるでしょう。10月以降になると、受験までの日数のカウントダウンの焦りと相まって、「ズルをするなんて人として間違っている」「中学受験をしたせいで、この子の性格が曲がってしまった」という相談も増えてきます。

 そんなとき、塾の先生から「過去にもそんな生徒は何人もいました。みんな改善して、入試に向かいましたよ。あまり大きな心配は要りません」「ごまかしの行動が出てきたのは、プレッシャーが原因です。あまり問い詰めないようにしてください」などとアドバイスされるかもしれません。

 それでも、「まさかうちの子が……」「子どもに裏切られた」という動揺は隠せないものです。

 最初は小さな「ごまかし(ズル)」ですが、放っておくと大きな問題にも発展しかねません。上手に解決していかないとストレスから体調にも影響が出てしまいます。塾に足が向かなくなったり、過去問が手につかなかったり、目標にしていた模試を受けられなかったり。受けられたとしても散々な結果だったりして負のスパイラルにハマってしまうことも。

 夏期講習では、塾に通う親子の関心ごとの一つである「模試」や「クラス移動」もないため、良い調子で頑張っていたかもしれません。

 秋になって、お子さんとのトラブルが増え、勉強面も急に失速したように見えるので、「魔の9月」と感じるのも大げさなことではありません。

 では、どうすれば良いのでしょうか。オススメの対策は3つあります。

(1)ごまかし(ズル)を「想定内の出来事」にする

 この記事を読んでいるあなたは、すでに答えの一つにたどり着いています。子どものごまかし(ズル)を想定しているのと、想定していないのでは、実際に直面した際のショックの大きさも違ってくるでしょう。

 塾の入試報告会で受験生の先輩親子の話を聞いたり、配られた合格体験記などを読んだりすると、順風満帆な家庭が多いと感じられるかもしれません。しかし、実際にはみんな悪戦苦闘、試行錯誤の毎日です。「うちの家庭だけ」が大変な状況だという気持ちになる必要は全くありません。