中高年なのに自己中なのは
他人の気持ちを想像しないから
「会社に自己中な50代がいて、振り回されている」と嘆く女性がいました。
面倒な仕事は人に押しつけてばかり。仕事中もおしゃべりが止まらない。みんなで決めたルールを守らない。自分のことは棚に上げて人のミスを責める……という具合。
「歳をとると、自分のことしか考えないワガママな人が多くなる」と聞くこともあります。たしかに公共の場で人目も憚らずキレていたり、クレーマーになったりするのは、中高年が多いかもしれません。だれもなにも言ってくれないまま、判断力が衰えると、“裸の王様”のように、残念な状態に陥ってしまうでしょう。
自己中心になってしまう理由は、育ちや性格的な問題もありますが、他人の気持ちを想像する習慣がないからでしょう。いじめやパワハラ、セクハラが起きてしまうのも想像力の欠如。相手の表情を見ることもなく、自分勝手な論理で突き進むのです。
一方で、歳を重ねるほど思いやりがあり、慎み深く、円熟味を増す人たちもいます。彼らはどんな人にも敬意を示し、若い世代の話も面白がって聞く習慣があります。
「今だけ、金だけ、自分だけ」という“3だけ主義”という言葉が流行ったことがありました。社会のリーダーたちが目先の経済や、自分の利益だけを優先してきた結果、つぎの世代を想像したり、みんなの幸福を考えたり、弱い立場の人にやさしくしたりすることが蔑ろになってしまったようです。もちろん、中高年にも若い世代にも、身のまわりに目を向けて、社会をよりよくしようと活動している人はいるのですが。
大人と子供の違いは「世界観の違い」といいます。
自己中心の世界観から、自我を確立して客観的な世界観を獲得する。自分だけでなく、相手の立場、他の人の立場になって考えられるのが、本来は大人というものです。
自己中の大人、思いやりのある大人、どちらのタイプに向かって進むのか、私たちは日々、試されているのかもしれません。