さりげない気遣いのできる人と
できない人の違いとは……?

 飲み会の席で「そろそろ帰りたいんだけど、盛り上がってるしなぁ」と言い出せずにいたところ、ずっと年下の男性が「アリカワさん、家が遠いですけど、お時間、大丈夫ですか?」と振ってくれたことがありました。まわりの人のことを考える、さりげない気遣いに感謝しつつ、「じゃあ、そろそろ……」と甘えたのでした。

 女性でも男性でも、どんな年齢でも、さりげない気遣いができる人は、大人だと感じます。たとえば、重たい荷物を持っている人には「手伝いますよ」、だれかが寒そうにしていたら「エアコンの温度を下げましょうか」と声をかける。レジで買い物が少ない人が後ろにいるときは「お先にどうぞ」と譲る。電車やバスで妊婦さんや高齢者がいたら、さっと席を立つなど、まわりに目を向けることができるのです。

 また、仕事でミスをして落ち込んでいる人には、さりげなくお茶に誘って、なんでもないおしゃべりをしたり、場合によってはそっとしてあげたりするのも、あたたかい気遣い。だれかが「気にかけてくれる」という状態は、人間にとって最高の安心。自然にまわりに心地いい空気ができていくのです。

 気遣いのできる人は、まわりを観察する心の余裕があります。

 反対に、気遣いのできない人は、自分のことで精一杯で、まわりが見えていない。人と話しながらスマホをいじっていたり、まわりの迷惑も考えずに大声で話したり、混んだ電車で我先にと席を横取りしようとするのは、意外に中高年に多いようです。

 気遣いができる人になるには、「あんなふうに、さりげなく気遣いができる大人になりたい」というお手本をもつのが近道。自分がやってもらって嬉しかったことを、つぎは自分から実践してみるのもいいでしょう。

 気遣いは、さりげないことほど相手の負担にならず、歓迎されるもの。ほんの少しの思いやりで、相手の心も、自分の心もほぐれるのです。

気遣いは押しつけにならないよう、「さりげなく」がポイントです