10倍株を発掘する!
「決算書速読5カ条」とは?

 10倍株を発掘するために決算書で絶対に見ておきたいポイント、“はっしゃん式「決算書速読5カ条」”は、以下の5つです。

第1条:売り上げと経常利益(税引き前利益)は増えているか
第2条:純資産が増えているか、自己資本比率が適正か(大きく、または連続的に減っていないか)
第3条:営業キャッシュフローは黒字か、期末現金残高は増加しているか
第4条:今期予想は増収増益か、予想や進捗率は信頼できるか
第5条:株価は理論株価より割安か、理論株価と連動しているか

 それぞれの“掟”について説明する前に、先ほどのハイプ・サイクルについて補足しましょう。

 気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、(1)黎明期から(2)流行期にかけても、投資対象としては魅力的な時期です。ただし、ハイリスク・ハイリターンで難度が高く、長期投資には向いていません。

(2)流行期は、多くの人気株や成長株が経験する「期待が先行する時期」。NTTが上場直後、1株300万円を付けた時や、ソフトバンクグループが20万円を付けたITバブルの時などが、これに当たります。最近でも、コロナショック後のDXバブル、ガソリンエンジンから再生可能エネルギーへの期待が先行したEVバブル、生成AIがきっかけとなったAIバブルなどがあります。

 このような実際の業績と株価が乖離(かいり)した過度な期待は、行き過ぎたバブルがはじけるがごとく、しぼんでしまう運命にあります。

 そのような不確実性の高い投資を敬遠し、より再現性の高い投資を実践するためのルールが前述の「決算書速読5カ条」です。

 ここからは、半導体や電子部品向けの切断・研削・研磨装置の分野における世界トップ企業であり、実際に株価が10倍になったディスコの決算短信を確認しながら、5カ条を解説していきましょう。

第1条:売り上げと経常利益(税引き前利益)は増えているか

 最も重要なのは、売り上げと利益が増えているか、です。

 決算短信1ページ目の上段から前年同期比を確認します。まず、最新の決算が増収増益であるかどうか。増収増益であった場合、過去5年分までさかのぼって、本決算が増収増益であるかも確認します。過去の業績確認は会社四季報でも代用できます。

 5年連続の増収増益で最高売り上げと最高利益を更新し続けているのが理想ですが、最新決算で最高売り上げと最高利益が見えている場合は、1、2回程度の減収や減益は許容してもよいでしょう。重要なのは、「これからの伸びしろ」なので、増収率や増益率が低下傾向でないことが重要になります。

決算短信出所:ディスコ2024年3月期の決算短信
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