第4条:今期予想は増収増益か、予想や進捗率は信頼できるか

 4つ目は、今期の会社予想と進捗率の比較です。

 まず、決算短信1ページ目の下段にある今期の会社予想が増収増益であるかを確認します。ただ、ここが増収増益であればいいというわけではありません。これも過去5年の実績と比較。成長が鈍化していないか、確認します。

 また、第1~第3四半期決算の場合は、決算短信1ページ目上段の売り上げと利益の進捗状況が会社予想の売り上げや利益に対して順当であるかを確認します。進捗率がよくない場合は、下方修正になったり、業績未達となったりしてしまうリスクがあります。逆に進捗率がよい場合は、上方修正や増配が期待できるかもしれません。

決算短信出所:ディスコ2024年3月期の決算短信
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第5条:株価は理論株価より割安か、理論株価と連動しているか

 最後に、決算書の数字から簡易的に理論株価を計算して、割安性や、業績と株価の連動性を確認します。理論株価とは、企業の現在の財務状況や利益予想などを基に算出した、その名の通り「理論上」の株価です。理論株価にはさまざまな算出方法がありますが、はっしゃん式では次の計算式で算出しています。過去の業績と株価から回帰分析で算出したものです。

理論株価=資産価値+事業価値-市場リスク
 事業価値=PER(株価収益率)15倍×ROA(総資産利益率)×10×財務レバレッジ補正
 資産価値=BPS(1株当たり純資産)×割引評価率
 *上限株価=資産価値+事業価値×2

 理論株価は、決算書が示す平均的な株価の目安となります。過去5年分にさかのぼって理論株価と株価を比較することで、株価が割安かどうか、業績と株価の連動性、現在がハイプ・サイクルのどの時期か、今投資すべきかを判断する材料になるのです。

 ディスコの場合、理論株価チャートからは、生成AIブームから株価が急上昇していき、現時点では、ハイプ・サイクルの(2)流行期に該当する期待先行型の可能性が高そうだと判定できます。

理論株価ディスコ2024年3月期の理論株価チャートより。理論株価は筆者が運営するサイトの無料公開ツールで計算(https://kabubiz.com/funda/riron/
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 ディスコの理論株価は2020~22年頃は緩やかに上昇、株価が割安だった時期もあり、ここが投資に適した時期だったといえるでしょう。

 前述のように2023年後半からは、生成AIブームの影響で急上昇しましたが、このように技術革新によってハイプ・サイクルが新たに形成されることもあります。運の要素もありますが、新しいニュースに目を通しておくことが、割安成長株から10倍株を発掘できる鍵となるでしょう。