「十勝型事故」を防ぐためには
自身の感覚を疑うべし

 繰り返しになるが、この事故の恐ろしいところは、お互いが減速せずに交差点に進入するため、重大な事故になりやすいことだ。未然に防ぐには、ドライバーが自身の感覚を「疑ってかかる」ことが求められる。

 あなたが優先道路を走っていて、周囲にクルマがいないと認識していても、それは目の錯覚かもしれない。だからこそ、信号のない交差点の手前では減速をしつつ、左右を見渡して安全を確認することが必要になる。

 速度を落とすことで、自身が走っている道路が本当に優先道路なのかを確認する余裕が生まれるだろう。ピラーの死角に隠れていたクルマも認識できるかもしれない。首を振って左右を見渡すことで、周辺視野ではなく中心視野で「動いているクルマ」を捉えられるようになる。

 また、誤認識ではなく本当に優先道路を通行していたとしても、事故に至ってしまえば過失は問われる。事故を防ぐには、たとえ優先道路を走っている場合でも、信号のない交差点を通りかかるときは速度を緩め、安全を確認することが望ましいと言える。

 将来的にはコネクティッド技術が進化し、クルマ同士が通信して事故を防ぐ時代が来るのかもしれない。だが現時点では、安全確認はドライバーの義務である。見通しのいい交差点を通る際に「自分は大丈夫だ」と油断して速度を上げるのではなく、周囲の状況にしっかり目を配るようにしたい。