日経平均「4万円」戻る?円高の上限は?次の利上げは?株・為替・金利、プロ14人の視点Photo:JIJI

8月5日の株価大暴落後、株も円相場も変動の大きい展開が続いている。市場混乱の引き金となった日本銀行の利上げ後の政策金利動向、株価、為替について緊急アンケートを実施した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

円キャリートレード巻き戻しで
円高急伸、日本株は乱高下 

 証券会社の店頭の株価ボードが、37年前と同じように下落を示す緑一色となった。

 8月5日、日経平均株価は全面安となり前週末比4451円28銭安の3万1458円42銭で引けた。下げ幅はブラックマンデーの翌日である1987年10月20日を上回る史上最大となった。

 今回の株価暴落の構図を見てみよう。

 まず、低金利の円を借りて、その円を売り外貨に交換して投資する取引、いわゆる「円キャリートレード」が多く積み上がっていた。その傾向を反映しているとみられるIMM(国際通貨市場)の投機筋の円のポジションを見ると、7月2日には過去最大級の18万4223枚の売り越しだった。ここまで積み上がったのは、日米金利差が大きく開いていたからである。

 その状況に変化をもたらす契機となったのが7月31日の日本銀行の利上げだ。政策金利を0~0.1%から0.25%に引き上げ、植田和男・日銀総裁は、物価・景気が見通し通りに推移すればさらなる利上げをすると発言した。円の対ドルレートは152円台から149円台へと上昇した。

 そして、同日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、現在5.25~5.5%の水準にある政策金利の9月以降の引き下げを示唆した。

 加えて、8月2日発表の米雇用統計で非農業部門の就業者数が市場予想を下回り、失業率が上昇したことで景気後退懸念が高まり、利下げペースの加速予想が台頭。円高進行で損失が発生したキャリートレードの解消が進み、円は5日には142円まで上昇した。米国の景気後退懸念と円高による企業業績の悪化懸念が5日の大暴落をもたらした。

 乱高下する相場の先行きをプロたちはどうみているのか。ダイヤモンド編集部は、日銀の政策金利動向や株価、為替について緊急アンケートを実施した。

 日経平均株価は4万円台を回復するのか。円高はどこまで進むのか。日銀の次の利上げはいつか。次ページでは、識者14人のアンケート結果をお届けする。