国債買い入れ減額、予想された月3兆円
サプライズ利上げとは逆に国債市場の安定重視
日本銀行は7月30~31日の金融政策決定会合(MPM)で、政策金利(無担保コールレートの誘導目標)の0.25%への引き上げと、国債買い入れ額をこれまでの月6兆円程度から四半期ごとに減額、2026年1~3月に月3兆円程度に減らすことを決めた。
国債買い入れの減額幅は予想通りだったが、追加利上げは9月と見ていた筆者にとっては、今回の利上げはサプライズだった。
というのも直近、公表されていた1~3月期の実質GDPや6月鉱工業生産指数、5月家計調査の実質消費支出、5月機械受注(船舶・電力を除く民需)などは前期比や前年比マイナスで軒並み低調な結果となっていた。
植田和男総裁が記者会見で語ったような「経済・物価はこれまで示してきた見通しにおおむね沿って推移している」という状況ではない。直近の経済指標がこれでは「物価安定の目標」実現を前提とする日銀の見通しと整合的とはいえないからだ。
一方、国債買い入れ減額は、市場参加者の意見を聴取した上で、市場にサプライズを与えない穏当な減額幅が選択された。ただ、決定された月3兆円という数字は、とりあえず市場にサプライズを与えないという意味しかない。
長期的な評価や長期金利に与える影響などが議論された形跡はなく、将来への不透明感は残った。