夏休みが終わればいよいよ入試に向けての仕上げの時期にはいってきます。どのようにして最終的な志望校を確定するのか、過去問はどのように進めればよいのか? 塾がお膳立てしてくれる最難関校はともかく、それ以外の学校を志望している子の親御さんは意外に情報がないといいます。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。

【カリスマ家庭教師が教える中学受験】過去問は何年分をやるべきなのか?Photo: Adobe Stock

過去問題集は目的によって使い分ける

皆さんは赤本をどのように入手されますか? 赤本はたいてい6月頃、最難関校から順に書店に並び始め、夏にはほぼすべての学校が出揃います。
ただ、今はネットで簡単に入手することができる時代です。ご家庭に指導で伺うと、第一志望は最新でも、第二志望以下は中古の赤本を購入されているケースが結構あります。
塾や家庭教師に毎月相当の出費をし、「締めるところは締める!」と、安い赤本(古いもの)を購入される気持ちはとてもよくわかります。

しかし、受験する学校の赤本は必ず最新年度のものを買ってください。なぜならば、入試問題の傾向は少しずつ変化するため、昔の過去問では参考にならない場合があるからです(もちろん、中にはずっと変化しない学校もあります)。
また、志望校が決まっていればなるべく早く購入するのが鉄則です。他の本と異なり、赤本は増刷されません。中には売り切れてしまう学校もあり、出遅れると最新の赤本を入手することが不可能になってしまいます。

第二志望、第三志望の赤本も必要

「第二志望、第三志望なんて学校説明会でもらった一年分をやっておけばいいでしょ」と考えているご家庭も多いのですが、学校によって出題傾向は異なります。偏差値的に余裕があるからといって、実際に点数が取れるかどうかはわかりません。よって志望校対策は必須であり、そのためには数年分の過去問が必要です。

後述する頻出分野分析(P.140)でも赤本を使用します。書店でパラパラと立ち読みすると「ダイヤグラムが好きな学校だな」「詩が出る年もあるんだ」「社会でこんなに記述させている」など学校の特徴をざっくりと知ることはできますが、それだけで志望校の頻出分野をしっかりと把握できるほど甘くはありません。また、赤本自体にも各科目の出題傾向分析は掲載されていますが、他人(出版社)が分析したものを見ても受験生にとっては他人事です。

さらに、赤本には学校の様々な情報も載っています。

子どもが好きなのは部活一覧。そのページを眺めて中学校生活に思いを馳せるのは、勉強するモチベーションを保つ上でも重要です。情報が過去のものでガッカリした……、とならないためにも、行かせる気のある学校の赤本は、必ず最新年度のものをいち早く買いましょう。

基本は赤本1冊分、形式に慣れる必要がある学校なら10年分揃える

ただし、お子さんが比較的早い時期から過去問に取り組む力があり、出題形式に変化がない学校の場合は、新しい赤本に加え、古い赤本(2~3冊)も揃えておくと安心です。
例えば「慶應中等部」は、高度な処理能力と問題見極め力を求められる学校ですが、中等部を志望するお子さんは器用なタイプが多く、一度解いた過去問は「あ、これ捨て問だった」「これは時間がかかる問題だった」と覚えてしまいます。これでは訓練にならないので、古い赤本も含めて10年分くらいは揃えてもらうようにしています。

基本的に第一志望の赤本は一冊分を終わらせるのが目安ですが、学校によっては数をこなす必要があるので、塾の先生に「この学校は何年分くらい揃えれば良いでしょうか」と聞いてみてください。

*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。