資産を取り崩すのも長期・分散が鉄則
「定額」「定率」それぞれのメリット・デメリットは?

 例えば、積立によって3000万円の資産を確保できたのであれば、年間150万円ずつ取り崩すといったプランです。

 3000万円を一括で取り崩して年間150万円のペースで使い続けた場合、20年で資産はなくなってしまいます。しかし、年間150万円ずつ取り崩しながら、残りは資産運用を続けていた場合、20年後も資産が残っている可能性は高いです。

 取り崩す方法には、例えば毎年150万円ずつといった「定額」の方法と、毎年総資産の5%ずつといった「定率」の方法があります。

 それぞれメリット、デメリットがあります。

 まず、「定額」のメリットは、毎年決まった額を手にすることができる点です。仮に毎月の生活費が30万円かかるとすれば、年金収入で不足する分を取り崩す必要があります。10万円が毎月不足するならば、年120万円を取り崩していく必要があります。

 デメリットとしては、市場が暴落して運用成績が悪い場合、取り崩し分の割合が大きくなる可能性がある点です。一括売却の方が結果として資産が長持ちしたというケースもあり得ることは頭に入れておく必要があります。

 もう1つの「定率」の場合はどうでしょうか。例えば、「総資産の5%」と決めたら3000万円の時は年間150万円、4000万円になった時は年間200万円、逆に2000万円に下落した場合は年間100万円ずつといった取り崩し方法です。

 メリットは、市場の暴落時に取り崩し分を少なくするため、資産が長持ちしやすいことにあります。デメリットとしては、取り崩す分のお金に大きく依存するような生活をする場合は生活費が安定しない可能性があることです。

 資産が長持ちしやすい傾向にあるのは「定率」ですが、生活を安定させるためには10年分程度の生活費は現金で確保しておくと良いでしょう。