なんと首都直下型地震で1001兆円、南海トラフ地震の場合も1410兆円と試算されているのだ。ちなみに、南海トラフは18年の試算だが、現在の社会状況を踏まえて再検証がなされているので、もっと膨れ上がるかもしれない(3月14日 NHK)。

 これがいかに途方も無い数字なのかということは、2023年の日本の名目GDPが約591兆円ということで理解できるだろう。つまり、もし仮にこの2つが連続する形で日本列島を襲ったら日本の財政は確実に「詰み」だ。プライマリーバランスなんか無視しろとか、赤字国債をじゃんじゃん発行すればいい、なんてレベルの話ではないのだ。

 では、具体的に何が起きるのか。

 まず、財政がしっちゃかめっちゃかになるので、社会保障などの公共サービスや、インフラの保守点検も大混乱に陥る可能性が高い。そして、復興支援を口実にさまざまな分野に外資が入ってくる。中国とアメリカが瓦礫の山となった日本を舞台に利権の争奪戦をする可能性もある。ただ、政府は何もできない。財政難でそれどころではないのだ。いくらガマン強い日本人とはいえ、これには流石に堪えかねる。そこで倒閣運動や、既存の社会システムの破壊を掲げる勢力が台頭をしてくるだろう。

 なぜそんな未来が予測できるのかというと、歴史の教訓である。

 実は260年続いた江戸幕府を終わらせたひとつの要因は、巨大地震による財政破綻もあるのだ。

 多くの日本人は江戸時代が終わったのは幕府への不満を募らせた薩長同盟や、黒船など海外からの外圧だと考えている。学校でそう習ったからだ。