物流大戦#7Photo by Yoshihisa Wada

物流再編を誘引したとされるのが、米投資ファンドのKKRが昨年7000億円を投じた旧日立物流(現ロジスティード)の巨額買収だ。ロジスティードは今年、KKR系の上場不動産投資信託に保有不動産を売却し、その資金をアルプス物流の買収に充てた。このスキームは日本の物流業界に広まり得るのか。特集『物流大戦』の#7で、KKRジャパンの平野博文社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

日本の物流会社は世界で戦える
KKRが見る「ポテンシャル」とは?

――米投資ファンドKKRによる昨年のロジスティード(旧日立物流)買収が物流業界に与えた衝撃は大きかったと思いますが、7000億円もの資金を投じた狙いを改めて教えてください。

 実際に投資をさせてもらう5年ほど前、日立物流の時代から実は中谷(康夫・ロジスティード会長兼社長)さんとお会いしていました。私だけでなく(KKR創業者の)ヘンリー・クラビスを交えてです。

 その当時、日立グループの上場子会社が将来的にグループから離れていく方向性は見えていましたが、その中でも物流会社である日立物流のポテンシャルは大きいとみていました。

 日本は物流事業を抱えている会社が極めて多い。こうした会社が物流事業を切り出し、それらを買収するボルトオン型のM&Aをしていけば、非常に大きなプラットフォームになれる。そして日本だけでなく、グローバルで戦える。

 輸出入が盛んな日本の物流が、国内だけで完結するはずがありません。日立グループから独立して資本の制約がなくなった場合、どのように経営陣や事業を強化し、どんな会社を買収したいのか、中谷さんとずっとそんな意見交換をしていました。

 その後、投資のタイミングが実際に訪れ、議論していた内容が現実になるということで、われわれとしては良かったと思っています。

ロジスティードに巨額のマネーを投じたKKRの動向を注視する業界関係者は多い。KKRジャパンを率いる平野博文社長は日本の物流会社について「ポテンシャルは大きい」と断言する。どこにポテンシャルを感じているのか。そしてそのポテンシャルをどう生かそうとしているのか。次ページで明らかにする。