当初の売却希望額は2400億円
実際は8分の1の額で西友を大安売り
米小売り最大手ウォルマートが、傘下の国内スーパー西友の売却を打診している。米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と、楽天が約300億円で買収する(ダイヤモンド・オンラインの記事『西友が楽天・KKR傘下へ、米ウォルマートが300億円で売却打診』で詳報)。
実は、この売却金額だが、ウォルマートは当初、約2400億円を提示していたことが、事情に詳しいファンド関係者への取材で分かった。金額は、交渉の過程で段階的に引き下げられた。
ウォルマートは2008年に西友を完全子会社化したが、その投資総額は約2500億円。ウォルマートの当初の売却希望額(約2400億円)に近い金額である。
18年7月には、日本経済新聞などが「ウォルマートが複数の流通大手や投資ファンドなどに売却の打診を始めた」と報じていた。当時、売却金額は「3000億~5000億円規模」と取り沙汰された。今回のウォルマートの売却希望額は、この下限に近い金額だったといえる。
ちなみにこの時、ウォルマート側は売却報道についてコメントを拒否。その後、実際に何も動かなかった。19年6月には西友が、前年の売却観測を打ち消すように、中期事業計画の中で再上場する方針を強調していた。
ところで、ウォルマートといえば、EDLP(エブリデイ・ロー・プライス、毎日安売り)が有名である。特売しないのが彼らの主義であり信条のはずだ。それなのに何故、今回は西友を8分の1となるディスカウント価格で「大安売り」してしまうのか。