インプット学習は
「毎日10分ずつ」で差が付く

 確かに近年の英語教育では、「聞く(リスニング)」「話す(スピーキング)」「読む(リーディング)」「書く(ライティング)」の「4技能」がさかんに喧伝され、「話す」に重きを置く傾向があります。

 しかし、英語を話すためには、まず大前提として、会話に必要な単語を覚える必要があります。従来の学習である、英単語を覚えることなくしては、決して英語を話せるようにはならないのです。同様に、プログラミングにもアルファベットの読み書きができることや四則計算の基礎力が必須です。

 考えてもみてください。たとえばサッカーを始める場合、一定時間フィールドを走り回っても疲れないだけの基礎体力があることは大前提です。ポジションごとの精緻な動き方を習ったり、ボールを操る高度な技術を教わったりしたとしても、ちょっと走っただけで疲れるようでは、ゲームに参加できません。

 ところが、近年の教育現場では、英語を話す、プログラムを作成する、といったアウトプットにばかり注目が集まってしまいがちです。また、こなすべき課題がほかに多すぎて、計算や漢字のような基礎的なインプット学習が軽視されがちになり、その学習自体が減少傾向にあります。

 加えて学校現場は、発達障害を持つ子どもの増加、教員の働き方改革、多様な教育ニーズへの対応など、様々な課題に直面しています。以前にもまして複雑な状況に置かれているわけです。だからこそ、特に低学年のうちに習得すべき計算や漢字といった基礎学力の養成や定着のために、以前のようには時間を割けなくなっているのです。

 ですから、その部分は家庭学習で補うほかありません。といっても、親が四六時中、子どもにつきっきりで何かをするわけではありません。

「小学3、4年生のあいだに毎日、漢字の読み書きと計算をそれぞれ10分ずつ見てあげる」だけでいいのです。早く正確に四則計算をすること、また漢字を覚え、語彙力を身につけることに集中してください。

 教材は市販のドリルで十分です。これを継続することで、年間にすると120時間、3年生から6年生までの4年間では480時間もの学習時間を確保できます。これは「決定的な差」として、中学受験、ひいては大学受験やその後の学力にも影響します。