連載の新着記事を読み逃したくない方は、連載のフォローがおすすめです。メールで記事を受け取ることができます。

「歩いた家の数しか票は出ない。握った手の数しか票は出ない」

 いつもおっしゃっておられたことだけど、永遠の真理だと思いますね。私も1日に300軒も400軒も、ひたすら歩きました。どれほど立派な政策を口にしようと、有権者との間にフレンドリーな関係を作れないと、選挙に強くはなれないんです。

ーー企業団体献金については、禁止すべきではないという立場ですね。

 企業団体献金のウェイトは減らしていくべきだと思っています。ただし、減らしすぎると公的助成や党からの資金に頼ることになって、議員の自立性が損なわれます。

 党からお金をもらえば、党の言いなりになってしまうでしょう。「逆らうんだったら、カネはやらねえ」と脅されたら困ってしまいますから。個々の議員の自立性を高めていくことも必要で、企業団体献金はそのために残すべきだと思います。

 ただし、どの企業がどの議員にいくら出したかは、可能な限り透明であるべきです。ある議員がある建設会社から1000万円の献金を受けたという事実が公にならなければ、その議員がその会社に有利な計らいをしても、背景がわかりません。献金の違法化よりも、事実が分かって有権者の判断基準になることのほうが民主主義には大切なのではないかと思います。

「選挙の顔」を意識した自民党総裁選に石破茂が苦言「キレイごとを言うつもりはないけど…」石破茂氏 Photo by Wataru Mukai

ーー自民党の派閥は、このまま解消されますか。

 宏池会や志帥会という組織はなくなっても、人の集団は残るでしょうね。きれいごとを言うつもりはないけど、誰を総裁にしたら自分が選挙に受かるだろうかと考えて集まるよりも、どんな国家を目指すのかというビジョンを共有するウェイトが、少しでも高まればいいと思います。