ニホンマムシに噛まれたら「近くの病院」に行く
――東京でもニホンマムシのような毒ヘビに遭遇したという話はときどき聞きます。毒ヘビに噛まれたときは、どうしたらいいですか?
西:ニホンマムシはチクっと噛んで去っていき、急激に大きな症状が出るわけではありません。でも、激しく腫れて、さらには血管や筋肉を溶かす毒を持っているので適切に処置をする必要があります。日本では毎年2000~3000人が噛まれ、そのうち10人ほどが亡くなっています。もし噛まれたら、あわてずに傷口を水で洗い流してください。そして、近くの病院に行くことです。
――毒ヘビは、生息地に近い病院でないと治療薬の準備がない場合があるということですよね?
西:そうです。地域特性のあるものは、その地域の人がよくわかっていますから。
病院に行くときは、走らないように気を付けてください。心臓がドキドキすると毒の回りが早くなってしまうんです。
毒は吸い出さなくていい
――なるほど、それは怖いですね。毒を口で吸い出してペッペッと出すみたいなのを漫画で見たことがありますが、それはダメですか?
西:おすすめしません。毒を吸い出す効果はあまり認められていませんし、口の傷から毒が入ったり、口の中の菌が傷から入ってしまうかもしれません。その場での処置としては傷口を水で洗うだけで良いでしょう。
――毒のある生き物に遭遇したら焦ってしまいそうですが、落ち着いて行動できるように知識を持っておきたいと思います。
医師。公衆衛生学修士。救急科専門医。南町田病院救急科勤務。帝京大学医学部救急医学講座非常勤講師
帝京大学医学部卒業。救急医として日々あらゆる病気やケガの診察をし、災害時には被災地において医療活動を行う。救急・災害医療の知識を市民へわかりやすく伝える活動も行っている。
※本稿は、『いのちをまもる図鑑』(監修:池上彰、今泉忠明、国崎信江、西竜一 文:滝乃みわこ イラスト:五月女ケイ子、室木おすし マンガ:横山了一)に関連した書き下ろし記事です。