私たちの遠い祖先は、狩猟や採集で得られた食材を生で食べていました。本来、人間を含めたすべての動物にとって、それが自然なあり方なのでしょう。

 加熱調理は、食材についた寄生虫や細菌を死滅させ、保存性を高めるという利点がある一方で、悪い変化ももたらします。その典型がAGE(編集部注/糖が過剰にこびりついて本来の機能を失ったたんぱく質)の増加です。

 悪性の老化促進物質であるAGEは、糖質過多で血中にブドウ糖が増えることでどんどん生成されますが、食べ物からも体に入ります。食品そのものに含まれているだけでなく、加熱調理することで増えてしまうのです。

 同じ食材でも、揚げたり焼いたりと高温で調理すると、よりAGEが増えることがわかっています。とくに、肉や魚などタンパク質は、高温調理によってAGEが飛躍的に増えるという弱点があります(図12参照)

図12:調理法によるAGE量の変化同書より転載 拡大画像表示

「イミダゾールジペプチド」という優れた抗酸化物質が多く含まれることや、糖質が少なく血糖値を上げないという点で、肉や魚は疲労の予防・回復におすすめの食材です。

 ですから、肉や魚は積極的に摂りたいのですが、なるべくAGEを増やさない調理法を心掛けましょう。1日の上限は7000KU(AGE量の単位)を目安にしてください。

 寄生虫の心配がない魚は、刺身で食べるのがベストです。

 肉や生食に向かない魚なら、揚げるよりも蒸したり茹でたりという食べ方をするといいでしょう。たとえば、鶏肉の場合、唐揚げにするより蒸し鶏や水炊きで。牛肉や豚肉も、焼くよりはしゃぶしゃぶを選びましょう。

 ステーキやとんかつはときどき楽しむ程度にして、AGEを少なくする調理法で、より大きな疲労の予防効果を手にしてください。

「規則正しく1日3食」という
教えに囚われないほうがいい

 図13を見てください。これは、同じ量の糖質を一気に摂ったときと少しずつ摂ったときの、血糖値およびインスリン分泌量の変化を表したものです。

 具体的には、50グラムの砂糖を水に溶いたものを、5分以内に飲んだケースと、3時間半かけてちびちび飲んだケースで比較しています。

図13:糖質の摂り方による変化同書より転載 拡大画像表示