書影『税弱な日本人からふんだくるピンハネ国家の不都合な真実』『税弱な日本人からふんだくるピンハネ国家の不都合な真実』(宝島社)
ひろゆき 著、根本和彦 監修

 大学も無償なので奨学金などは必要なく、勉強したい人は大学に行き、勉強よりもパンを焼くほうが好きだという人は、大学に行かずにパン屋になります。パンを焼いたり洋服のデザインをしたりするのに大学は必要ないと思えば行かないし、やっぱり店を開くためには経理の勉強もしておきたいという人は、その時点で大学に行っても構いません。

 もちろん経済なり金融の勉強がしたいという人は、大学に行って専門の勉強をします。目的を持って入学するので、一生懸命勉強して高度な知識を身につけ、社会に出て銀行に入ったときには優秀なバンカーになっています。

 日本の場合、一度高卒で仕事を始めて、途中で何か別のスキルの必要性を感じて大学に行きたいと思っても、そこから大学に入り直すためには、相当なエネルギーを必要とします。

 つまり日本では、やり直すということが簡単にできず、そのため、やりたくない仕事でもなかなか辞めることができないのです。

無職でも生活が保障される
不幸な人を作らないシステム

 それからもう1つ、フィンランドをはじめとする北欧の国々の特徴として、「無職になっても食いっぱぐれない」ということがあります。

 福祉国家なので、仕事を辞めても無職の間は失業手当が出るし、失業している最中に職業訓練学校などに行けば、その手当も出ます。

 そのためか、僕が聞いた限りでは、フィンランドにはいわゆる「ブラック企業」がないらしいのです。日本の場合は、仕事を辞めると1年間は失業手当が出ますが、その後は収入のあてがなくなってしまいますので、なかなか仕事を辞めることができません。その結果、ブラック企業にいつまでもしがみついて、挙げ句の果てには体調を崩したり、心を病んでしまったりするのです。

 しかし、フィンランドの場合は、ブラック企業でとても仕事をやってられないという場合には、いつでも辞められますし、また解雇も怖くないので、違法な会社があればすぐに通報します。

 そしてブラック企業はどんどん淘汰されていくのです。

 フィンランドに限らず、北欧の国々は得てしてこのような感じです。社会のシステムが、不幸な人を作らない方向で動いているのです。