北欧の国々が生活の満足度が高く、日本が低い原因はいろいろあると思います。

 僕なりに分析すると、まず、フィンランドには私立の学校がほとんどありません。

 日本では、私立の有名校はよい学校で、たとえば慶應の幼稚舎から慶應大学に進むのがエリートだとか言われます。一方で、偏差値があまり高くなくて比較的容易に入れるような公立の大学などはあまり評価されません。

 ところがフィンランドでは、日本のように大学が知名度やブランドで分け隔てされることがありません。皆どこの大学へ行っても同じように一生懸命勉強します。

 フィンランドでは、学校の先生になる人は皆、大学院卒の修士です。日本の場合、大学の学部卒でも教員にはなれますが、フィンランドでは大学院を出ていないと教員になれないのです。

 大学院を出ているというだけでなく教養もあり、たとえば子どもたちからどんな質問をされても答えることができます。

 フィンランドの学校では宿題がなく、子どもたちが好奇心や興味を持った分野を伸ばすことに力を入れています。極端な話、授業中に生徒が木登りがしたいと言えば、実際に木登りをやってしまったりします。そこでどういう木が登りやすくて登りにくいか、木登りがうまい人と下手な人の違いはどこにあるのか、この木に生息している昆虫は何なのか、といったアプローチから子どもたちの好奇心を引き出していくのです。

 そういうとき、日本の先生は、たとえば歴史の担当だったら、生物のことを子どもから聞かれても答えられないのです。しかしフィンランドの先生は、だいたい子どもの質問にまんべんなく答えられるような教育を受けています。もしわからない場合でも、詳しい人に聞いてみようとか、本で調べてみようとか、調べる方法を知っていて、それを子どもに教えるのです。

北欧は大学も無償なので
奨学金などは必要ない

 また、日本の教育では、国語、英語、数学、社会、理科など、すべての科目でよい成績が取れることを目指します。そうしなければ大学に入れないし、大学に入れないと給料の高い会社にも入れず、苦労しなければならないという恐怖感から、興味のない科目も一生懸命勉強して、お金がなくても奨学金をもらって大学に入ることを目指します。

 一方で北欧の人たちは、得意な科目は1つか2つあればいいんじゃないのという考え方なのです。