エン洞窟は、天井高が最高200メートルに達するという規模で、飛行機も中に入ることができるといえば、その巨大さが分かりますでしょうか。洞窟の中には、かつて周辺に住んでいたアレム族が狩りに来ていたくらいたくさんの鳥が住んでいて、鳴き交わす声が夜中ずっと聞こえていました。
洞窟の中には、驚いたことに湖もあり、水着に着替えて泳ぎました。洗濯もして早めに眠りましたが、両隣のテントにいたエキスパートとベトナムのチームリーダーのいびきとくしゃみが洞窟に響いて笑ったところ、その私の笑い声も殷々とこだましていたそうです。
ハーネスとカラビナをつけてロープを伝って移動
2日目の朝、洞窟ツアーとは思えないおいしい朝ごはん(フレンチトースト)をいただいたあと、エン洞窟を抜け、いくつも川を渡ってメインの査察地「ソンドン洞窟」へいよいよ出発です。ここに着くまでにはまた、おなかまで浸からないと渡れない川もありました。足元が滑るので下を見ることが多かったですが、人が滅多に入らないジャングルの山間の景色は圧巻です。雨だったので、動物にほとんど遭遇しなかったのが残念でした。
通るはずだった道が、川の水位が高くなりすぎていて消滅しており、迂回路をとらねばならない場面もありました。この辺りはラオス側のヒンナムノ自然公園と繋がっているので、川の源流はラオスにあると教わりました。
2日目のお昼も、先に着いた料理人とポーターさんたちが設営した場所で食べましたが、おなかのあたりを再びヒルに2カ所食われていました。
お昼の後、ハーネスとカラビナをつけ、ロープを伝って下りの多い道を通ってついにソンドン洞窟の中へ。この洞窟ができたのは300万年前で(ホワード氏によれば、まだ若い「赤ちゃんの洞窟」)、入り口が見え始めてからも辿り着くまでにかなり長い時間がかかりました。
洞窟の中に落ち着いてそれぞれのテントに荷物を置いた後、強い雨が降って天然シャワーが洞窟の中にできていたため、その滝シャワーでシャンプーをしました。冷たすぎることもなく、髪を洗うことができてすっきりしました。
死がすぐ近くにある3日間
ソンドン洞窟は、現在、地上で発見されている洞窟の中で最大とされています。そのソンドン洞窟での2日目の野営は、雨も降っていたし月は新月から少し経った頃だったので、周囲が暗くて水音が凄く、しかも洞窟の内側に雨水が流れこんで来て、なかなか寝付けませんでした。3回くらい、外を確認しました。一緒に行った仲間たちも、夜中に不安で何回も目が覚めたと言っていました。