世界に日本の「存在感」を示したい
地方から始めようと思った

――兵庫県芦屋市の市長を志した理由を教えてください。

 ハーバード大学では環境工学を専攻し、再生可能エネルギーを中心に学びました。その学びが実社会とどうつながるかを知りたくて、休学して欧州、北米、アジアと世界各地を見て回りました。その中で、エネルギーを考えることは同時に町づくりを考えることだと気づいたのです。

 その後、2019年に芦屋市役所でインターンシップを行いました。芦屋市は「無電柱化率」が日本トップクラスで、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたスマートシティーなど先進的な取り組みも行われている都市でした。ここなら自分の学びが生かせそうだと考えたのです。

 もう一つ、海外で気づいたのは日本のプレゼンス(存在感)が驚くほど低いことでした。アニメやラーメンは人気でも、ビジネスで日本に関心のある人は少ないのです。アジアで仕事するなら中国、インド、韓国だと。

 とてもショックでした。どうすればこの状況を変えられるか。答えは持続可能な都市モデルをつくって世界に発信することだと思いました。少子高齢化、教育、エネルギー、ゴミ……、世界の都市に人が集まる中で、芦屋市が社会課題を解決すると世界の参考になる。日本のプレゼンスを高めることを、芦屋市から始めたいと思いました。

灘高→東大の秀才がハーバードで初めて知った「できない自分」教授が出した助け舟とは?市長として芦屋市内の中学校を訪問し、給食を食べながら生徒と対話 写真提供=髙島崚輔