客観的に事実を伝える
「代替案」で解決することも

 こういう相談を受けた時、私が常に意識していたことは、「主観ではなく、客観で物事を伝える」ことです。

 やりたい・やりたくないといった自分の意思ではなく、できない理由を客観的に伝えるようにしていました。ただ、「ルールなのでできません」とだけ伝えても、「なんで?」「ルールは理解しているけど、それより大切な商談なんだよ」と相手は主観的な意見を言い出し、議論は平行線になります。

 なので、私は理由を添えて、自分たちの意思ではなく、「やりたくてもできないんです」という伝え方をするように意識していました。

 加えて、もう一つ意識していたことがあります。それは「代替案を出すこと」です。

 社員の方が「会議室がない!」と困っている様子を何度も見ていて、事情や緊急度は違えど、困っている人は多くいるんだなと感じていました。

 会議室や受付周りで一番詳しいのは私たちです。例えば、「通常の会議室はいっぱいですが、役員部屋は空いているようです。役員の方は同席されませんか?」という質問をしてみたり、「予約できる会議室はいっぱいですが、1階の奥にある商談スペースは当日のみ予約が可能です。経験からの感覚にはなりますが、少し早めに受付に行って相談すると、結構当日予約できたりしますよ!」といった提案をしたりしていました。

 このように代替案を出すことで、「あ、役員のAさんも同席するんだ!じゃあ、役員部屋押さえて!」とその場で解決したケースもありました。

 客観的な伝え方を意識しつつ、代替案を出すことで、個人的な感情や関係値にネガティブさが残ることを避けられるのだと学びました。