「役員も出ます!」
うそをついて予約しようとする人には?

 大企業ではこんなケースもありました。

「役員が同席するから役員部屋の予約お願いします!」と、会議室の予約に来た社員の方。ただ、このような場合、私は“ちょっと怪しい匂い”を感じます。

 役員の方には、だいたい秘書の方がいます。そのため、役員部屋の予約は、その秘書の方がしにくる場合がほとんど。社員が予約に来た時は、経験上、「役員も出席するとうそをついて予約しようとしている」可能性がなきにしもあらず……なのです。

 そういう場合、私は「Aさんの秘書の方に確認した上で予約しますね」と返すようにしていました。もちろん本当に同席される場合も多くあるのですが、そうでない場合は社員の方の目は泳ぎます。「多分同席するんで……」と、あいまいな言い方に変わってくのを何度も見てきました。

 受付嬢としては「うそですよね」なんて言えないので、もしも役員の方が同席しないのに役員部屋を予約すると……という話をお伝えして納得してもらうようにします。

 例えば、過去に役員がいないのに部屋を利用して困ったケースがあれば、それについてお話しします。

「以前、役員が同席する可能性のない商談で役員部屋を予約された方がいました。その結果、その方だけでなく、その方の所属する部署の全員が3カ月、役員部屋の予約が制限されました。役員の方も3カ月、役員部屋を使えなくなったのです。私たちも、ちゃんと確認せずに予約したのか、とお叱りの言葉受けました」

 うそをついてルールを破ろうとする人にも、過去にあった事例を出すなど、主観ではなく客観的事実をお伝えすることが有効です。そうすることで利害を一致させ、私たちが伝えたいことを理解してもらって「うその予約」を回避することができました。