劇場型詐欺や警察官へのなりすましなど、一般家庭を狙った詐欺の手口はいっそう複雑化している。また、空き巣や強盗の魔の手から自分の命と財産を守るために今から始められる防犯対策とは?元公安部捜査官・松丸氏が徹底解説する。本稿は、松丸俊彦『元公安、テロ&スパイ対策のプロが教える!最新リスク管理マニュアル 激増する国際型犯罪から身を守るために』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。
自分の家と財産と命を守るために
強盗が何を嫌がるかを知ろう
強盗から自分の家と財産と命を守るためには、強盗たちが何を嫌がるかを知ることです。
防犯対策についてお話ししていきますが、まずは、逆にどんな家だと狙われやすいのかをお話しします。
1.周囲に家も店もなにもない、ポツンと一軒家
以前、住居に無職男が侵入し夫婦が殺害され、
その現場は、うっそうと茂る雑木林の中にある、いわゆる「ポツンと一軒家」でした。
周囲には畑だけが広がり、最も近い民家までは数百メートルも離れている環境だったので、犯人にしてみれば、家の中に侵入してから住人たちの携帯電話を取り上げて、警察に通報させないようにすれば、時間を稼ぎながら犯行に及ぶことができます。
犯人としては犯行計画が立てやすい状況だったと言えるでしょう。
最近も地方の一軒家が狙われる事件が発生しています。被害額は大きくなくても、危険な状況に巻き込まれるおそれがあるので、防犯対策を考えてください。
2.古いタイプの警報装置を設置している家
警報装置をつけているから安心、と思っている方は多いかもしれません。しかし、実は警報装置は嵐や雨の日などに庭の枝が警報装置に落ちたりして、誤報を起こしたり故障することも多いのです。
そのため、住人が電源を切ってしまっているケースもあります。設置にも維持にもお金がかかりますが、古いタイプのものだと瞬時に反応しないリスクもありますから、警報装置をつけているからと安心しすぎないでください。
強盗犯側も、防犯装置に関していろいろ研究しているので、旧式で精度が悪いものを設置している家は、狙いやすいと思っています。
3.高い塀や木で家の周りを囲っている家
高い塀や木で囲われている家は、一見、強盗が入りにくいイメージがありますが、敷地の中が外から見通せないので、実は犯罪が行われやすい家だと言えます。
特に住宅街の中であれば、塀ではなくフェンスなどで囲って隣の家や通行人から一部、敷地の中が見えるようにしておいたほうがいいというのが、防犯上、よく言われることです。