「お客様からの名刺」に困る受付嬢も……
ルールを設けることで対応

「受付嬢やっています・やっていました」とお話しすると、必ずといっていいほど、「お客さんから名刺渡されたりするの?」と聞かれます。

 回答としては「あります」ですが、おそらく皆さんが想像されているほどの頻度ではないかと思います(笑)。

 お客様と一言で言っても、いろいろな方がいらっしゃいます。ご年齢や会社との関係性、役職、プライベートのステータスなどなど……私たちでは知り得ない情報がたくさんあります。

 ですので、いただいた名刺をどう扱っていいか、非常に悩ましいのが本音です。失礼なことをしてはいけないし、無視していいものか……と、リーダーを務めていた時には相談を受けることも多々ありました。

 そこで私が働いていた受付では、受付のスタッフに名刺を渡すお客様に対し、「お客様の大切なお名刺をいただいたことは、会社に報告をさせていただくルールとなっております」と一言添えるようにしていました。

 名刺はその人の分身とも言われていますので、粗末に扱うことはできません。コストもかけて作られている貴重なお名刺ですから、受け取りっぱなしとならぬよう、対応は上長や所属部署に判断をしてもらうためです。

 それで差し控えられる方もいますし、「そうなんですね。分かりました」と納得されていただくお名刺もあります。名刺をお渡しされる目的や思いは人それぞれでしょう。とはいえ、人によって対応を変えるわけにはいかないため、ルールを設けることで困るようなシーンは減らせると思っています。

 今回は受付嬢時代の「困ったケース」をいくつか挙げてお話ししました。仕事をしていると、本当にいろいろな無茶振りや相談に出会いますよね。判断に迷った時や困った時は、「会社全体にとっていい判断とは?」と俯瞰して考えることで正しい対処ができると思います。

「告げ口されたらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」と不安になりますが、同じ会社で働く、会社に雇用されていると考えると、会社にとって良い決断をすることは、自分だけではなく相手にとってもプラスになるはずです。

 困りごとに対峙すると、どうしても視野が狭くなりがちです。そういうときだからこそ、引いて考える、俯瞰して考えるようにすると、どういう対応をすることが短期的にも中長期的にもいい方向に向かうのか、結論が出てくるはずです。