羽田クロノゲートに潜入!
問題のクール部門に配置される

 正面取材を断られたあとも、細い線をたどってヤマト運輸の取材を続けていたが、全体像が見えてこない。群盲象を撫でる(なでる)、というか、隔靴搔痒(かっかそうよう)の状態に陥っていた。

 そこで、ヤマト運輸が取材の前年に鳴り物入りで稼働させた〈羽田クロノゲート〉という宅急便の巨大仕分け拠点にアルバイトとして潜り込むことにした。

 住民票を〈羽田クロノゲート〉がある大田区に移し、午後10時から翌朝6時までの夜勤のアルバイトに応募した。面接を受けに行くと、すぐに合格したという知らせが入った。夏の1カ月の間、私は時給1020円のアルバイトとして、クール宅急便の荷物を、配達する方面別に仕分ける作業に従事することになった。室温は10℃に保たれていたため、真夏でも長袖が必要な職場だった。

 クール部門に配置されたのは、偶然だったが、そのおかげで、温度管理で問題を起こしたクール部門が、依然としてずさんな温度管理を続けたままで日々の業務を行っていることを目の当たりにすることになった。天の配剤といったところだろうか。