こうした傾向は、最近増えているウェルビーイングに関する社会関係の調査でもわかっています。日経統合ウェルビーイング調査では、友人を持つことの利点は インフォーマルな社会活動の効果だということがわかっています。友人は社会との接点であり、地域へのエンゲージメント(愛着)が高まるのです。社会関係活動としての意識が強まり、自己肯定力が高まるのでしょう。  

 内閣府の生活選好度調査でも「幸福度を判断する際の重視する項目」において、「友人」と回答している人の割合が、65歳から急増しています。

友人や近所の人と相談・助け合いを
するのが苦手な日本人

 しかし、欧米に比べ、日本では「親しい友人がいる」と感じている高齢者は少なく、中でも日本は異性の友人が少ない傾向があります。それは、友人や近所の人との付き合い方が限定的だからです。

 内閣府の「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」では、「お茶、食事を一緒にする」のは日本では14%ですが、米国は27%、スウェーデンは25%、ドイツでは46%にも上ります。「趣味をともにする」については、日本は11%にとどまっていますが、米国は2倍の20%近くもあります。

 さらに「相談ごとがあった時、相談したり、されたりする」は、日本の20%に対して米国は42%、ドイツでは45%です。「病気の時に助け合う」のも、日本ではわずか5%ですが、米国では40%近く、ドイツも30%となっています。

 日本では、近所の人にはおすそ分けとしてモノを分け合ったり、立ち話をしたりする程度です。
プライバシーを重視している日本人は、お隣さんの家にお邪魔して話をすることが少なく、関係を深く築こうとしない習慣があるようです。友人関係においても外で食事することが多く、自宅に招き合ったり、頻繁に家を訪問したりする関係になる人は、少ないようです。そんな状況だと、体力が落ちて外出がおっくうになったら、友人関係を維持するのは難しくなります。

 では、どうやったら人と深い関係になり、幸福度が上がるのでしょう。職場の同僚とは共通の上司の悪口を言えたり、昔からの飲み友達などは過去の話で盛り上がったりできるかもしれません。ストレスが多かったときの自分をよく知っている同窓会のメンバーなども、気楽に話せる間柄かもしれません。しかし、幸福度を上げる友人には特徴があるようです。