東大文3に合格した男はなぜ
「慶応文学部に落ちた」のか?

 そして三つ目の要因は、「苦手科目を得意科目でカバーしづらいこと」です。

 例えば、東大文系学部の個別試験では、国語・外国語・数学・地理歴史2科目と、最低でも5科目に対応する必要があります。この方式は、広範な知識が求められる反面、一つ苦手な科目があっても、他の科目で取り返すことが可能です。

 しかし、早慶の一般入試は基本的に2~3科目のみで勝負するため、その中に一つでも苦手な科目があれば、その時点で合格が厳しくなります。特に、私大では配点が高い場合が多い英語が苦手だと、いくら他の科目が得意でも挽回するのは至難の業です。

 私の知人には、東大の文科3類に合格したにもかかわらず、慶應の文学部に落ちた人がいます。彼は他の東大合格者と比較すると英語が苦手でした。共通テストにおける英語の点数は、他の東大合格者に比べるとやや低めの8割程度。本番の東大入試でも半分を切る50/120点程度に終わったものの、他の科目で取り返したために無事合格しました。

 しかし、地歴・小論文の配点が100点ずつ、英語の配点が150点だった慶應の文学部では、英語が苦手であることが致命的であったようです。満足いく英訳ができなかったようで手応えのないまま合格発表を迎え、結局落ちてしまいました。

早慶で手応えがなくても
不安に思う必要はない

 以上、「早慶落ち東大生」が存在する理由について、3つの要因から分析しました。

 とはいえ、早慶の入試で手応えがなかったからと言って、東大入試を不安に思う必要はありません。例示した知人の他にも、早慶に落ちたけれど東大に合格した人を、私はたくさん知っています。

 ビジネスの就職・転職活動においても、中小企業やベンチャー企業に落ちた人が、大企業に受かる例もあります。それと似た「相性やマッチングの問題」だと捉えて、前向きに東大受験に臨んでいただければと思います。