私は生まれ育った○○県に愛着を感じており、○○県の教員となって子どもたちの力を伸ばし、成長を支える存在になることを強く希望している。私が教員を目指すようになったのは、家庭の経済的な問題を抱えた子どもたちの学習支援をしていたときのことがきっかけだ。学習の進度が遅く、ずっと「方程式がわからない」と言っていた生徒がいた。そこで、授業でとったノートを私が毎日見せてもらい、つまずいているところを繰り返し教えていると、あるとき急に「先生、わかったよ!」と、目を輝かせて熱心に課題に取り組み始めたのだ。そのとき、粘り強く指導をすれば必ず生徒は伸びるのだと確信し、子どもたちを教えることに大きなやりがいと喜びを感じることができた。本県の教育理念の一つ「一人ひとりの子どもたちに向き合う教育」は、まさに私が実践したい教育のあり方だ。この理念のもと、故郷○○県の教育に貢献することを強く望んでいる。
どこが「致命的」なのか?
低評価の解答例は、「問題文で問われていることに答えていない」という致命的なミスをおかしています。
一見、正しい解答に見えるかもしれません。どこに問題があるのか。なぜ、問題に答えていないことになるのでしょうか。
「教員を志望した理由」については書けていますが、問題文にある「本県の」という部分に答えられていないのです。
出題者は、よその県ではなく、「なぜ本県の教員を志望しているのか?」を聞きたいという意図を込めて出題しているわけですが、そこに対する答えが何もありません。これを読んだ採点者からは、「そういう理由なら、うちの県でなくても良いですよね」と言われるでしょう。
一方、高評価の解答例のほうは、答案の冒頭と末尾で、この点に正面から答えています。
このような問題の意味を理解せずに書いている答案は非常に多く、一度指摘しても、二度、三度と間違う人が少なくありません。
「聞かれていることに答えていない」答案が続出する理由はいくつかありますが、大きな理由の1つは「問題文の意味を理解して書く」ことの重要性がわかっていないからです。問題で聞かれていることと違うことを答えてしまったら、絶対に良い評価はつきません。
たとえば、数学の試験で「1+2はいくらになるか?」という問題に対して、「1×2=2です」と答えたら「×」をつけられます。計算そのものは正しくても、聞かれていることと異なることを答えているのですから、0点です。この理屈は誰でも理解できます。
しかし、小論文試験になるとそれが意識できなくなり、問題文を「なんとなくわかった」状態で書き始めてしまう人が多いのです。問題を正しく理解しないまま書くことは、数学で言えば0点になるほどの重大ミスだということがわかれば、慎重に問題を読む習慣がつくはずです。
『落とされない小論文 増補改訂版』では、「減点要因ワーストランキング12」すべてにおいて「問題点」と「解決策」をBefore→After形式で詳しく解説するほか、試験直前期に即効性のあるスキルと知識を豊富に掲載しています。
※本記事は『落とされない小論文 増補改訂版』の内容を一部変更して掲載しています。