公務員試験、教員採用試験、大学入試、就職試験、病院採用試験、企業内の昇進試験など、いろいろな場面で「小論文試験」が課されますが、実はその「減点要因」は共通しています。新刊『落とされない小論文 増補改訂版』の著者「ウェブ小論文塾」代表の今道琢也氏が、「全試験共通の最も致命的なミス」について解説します。(構成・編集部/今野良介)

ちょっと信じられない「ワースト1位」

まず、次の「減点要因ワーストランキング12」をご覧ください。

これは、私が10年間で5000本ほど小論文試験の「失敗答案」を添削・指導してきた経験から、多くの人がやりがちなミスを致命的な順に並べたものです。

【10年間不動のワースト1位】小論文試験の「致命的ミス」とは?

高校生、大学生、社会人、管理職クラスの人など、年齢層や役職などを問わず、あらゆる小論文試験の受験者にまんべんなく見られ、かつ採点に致命的なダメージを与える最大のミスは「問題文を理解してない」、つまり「問題文の指示に正しく答えられていない」ということです。

ここを押さえずして合格答案は絶対に書けません。試験が始まって真っ先にやるべきことは、「問題をよく読んで、何が問われているかをしっかり理解する」ということです。

「そんなことは言われなくてもわかっている」と思うかもしれません。しかし、それができていない人が非常に多いのです。私の塾の受講生のうち、実に半数以上がこのミスを犯しています

このミスは、多くの受験者がもっともやりがちであるだけでなく、一番大きな減点対象となる致命的なミスです。すべての小論文受験者が確実に克服しておくべき、最優先事項です。

これから、1つの例題と解答例を掲載します。解答例には、「低評価の解答例」と「高評価の解答例」の2つを用意しています。

【教員試験の想定問題】
あなたはなぜ本県の教員を志望しているのか、その理由を述べよ。

【低評価の解答例】
私は教員という仕事を通して子どもたちの力を伸ばし、その成長を支える存在になりたいと考えている。私が教員を目指すようになったのは、家庭の経済的な問題を抱えた子どもたちの学習支援をしていたときのことがきっかけだ。学習の進度が遅く、ずっと「方程式がわからない」と言っていた子どもがいた。そこで、授業でとったノートを私が毎日見せてもらい、つまずいているところを繰り返し教えていると、あるとき急に「先生、わかったよ!」と、目を輝かせて熱心に課題に取り組み始めたのだ。そのとき、粘り強く指導をすれば必ず生徒は伸びるのだと確信し、子どもたちを教えることに大きな達成感と喜びを感じることができた。子どもたちの力を引き出し、伸ばしていくことは大変やりがいのある仕事だ。私自身も常に学ぶ気持ちを忘れず、指導法の研究に日々取り組み、子どもたちと共に成長していく教員になりたいと考えている。

この解答例のどこに問題があるのでしょうか。

次のページに「高評価の解答例」を掲載します。「低評価の解答例」と何が違うのか、なぜ評価が高いのかを考えてみてください。