近年、「頭の回転の速さの象徴」としてお笑い芸人が多くの場面で活躍をしている。そんなあらゆるジャンルで活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏による『1秒で答えをつくる力』が発刊された。ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちをこれまで1万人以上指導してきた本多氏の仕事に対する考え方をオリジナル記事としてお届けする。

ビジネスパーソンPhoto: Adobe Stock

「おしゃべり=コミュニケーション能力が高い」ではない

 皆さんのまわりにコミュニケーション能力の高い人はいますでしょうか。私のまわりにはたくさんいます。そういった人たちを見るたびに、「すごいな」と思う一方、あることにも気がつくようになりました。

 それは、コミュニケーション能力が高い人は必ずしも口数が多いとは限らないということです。

 一般的に、コミュニケーション能力が高いと言われるケースは言葉数が多い人を指すように思います。誰とでも会話ができて、ときには人を笑顔にできる人です。

 私はお笑いの世界にいますから、この傾向は特に強く、若手芸人からはどうやったら「たくさん喋れるようになりますか?」と相談されることもあります。

 ですが、「言葉数が多い=コミュニケーション能力が高い」ではありません。言葉数が多ければいいとだけ思っていると、むしろコミュニケーション能力は下がることもあるので注意が必要です。

 たとえば、皆さんが職場でなんとなく雑談をしていたとしましょう。複数人で楽しく休みの日にどこに行ったのか話しています。

 その会話に、おしゃべりな人が混ざってきました。すると、その人はずっと自分の話ばかりして会話になりません。皆さんが聞いているかどうかも気にせず、とにかく自分が話すことに夢中です。

 どうでしょうか。これをコミュニケーション能力が高いと思うでしょうか。誰もが違うと答えるでしょう。このように、会話がお互いのキャッチボールである以上、言葉数の多さは一要素でしかなく、コミュニケーション能力そのもを指しているわけではないのです。