例えばプロジェクトの進行管理においては、タスクごとにチェックリストを活用することで、どの作業が完了しているか、どこにリスクが潜んでいるかを明確に把握することができます。また、製品開発の現場でも、開発プロセスの各段階でチェックリストを使用することで、品質管理が徹底され、顧客に提供する製品が基準を満たしているかどうかを確認することが可能です。

 製造業においては、「デザインレビュー」が非常に重要なプロセスとして位置づけられています。このレビューは、製品の設計段階で複数回にわたり実施されることが一般的です。開発プロセスの各段階(ステージ)で要件クリアを評価する「ステージゲート方式」を採用している場合、ステージ終了時にレビューを行い、品質が確保され、問題がない状態で次の段階に進みます。

 すると、後の工程で発生する手戻りやコストの増加といったリスクを抑えることができます。このレビューの際も、すべての設計要件が満たされているか、潜在的な問題がないかを確認するためにチェックリストが活用されます。

 チェックリストは新しい社員のオンボーディングプロセスでも役立ちます。業務に必要なツールの準備やトレーニングの実施項目をリスト化することで、スムーズな戦力化をサポートします。新しい社員が早期にチームの一員としての役割を果たせるようになり、業務の効率が向上するのです。

肥大化したチェックリストは
ビジネスの成長を妨げる

 チェックリストは非常に有用なツールです。しかし、時として「念のため」という理由でチェック項目を加えることが、逆にビジネスに悪影響を与えることがあります。項目が多すぎて無駄な作業が増え、かえって効率が下がることもあります。私自身の登山での経験を例にお話ししましょう。

 登山において、本来は持ち物リストの中からその時の山行に必要な装備をピックアップして持っていくべきなのですが、「念のため」「もしものために」と必要以上の装備を持参してしまうことがよくあります。例えば、過剰な防寒対策や余分な水などです。私も途中で水場があることを知りながら、2リットル以上の水を麓から運んだことがありました。2リットルの水というと、実に2kgもの重さです。