3ファクターモデルによる株式リターンの説明には、株式市場要因、時価総額に基づいた大型株か小型株かの要因、そしてPBRの要因(正確には、PBRの逆数要因)の3つが用いられている。以上のうち、PBRの要因をなぞったのがバリュー株とグロース株の分類である。
ここでバリュー株とはPBRの水準の低い企業、グロース株とはPBRの水準の高い企業が基本となる。ファーマらは3ファクターモデルに基づく実証分析によって、バリュー株の投資収益率が高いことを示した。
なおバリュー株を割安株と訳すことがあるが、これはPBRから見て割安だという意味にすぎない。またグロース株は成長株と訳されるが、これは単に高成長企業のPBRが高いことに由来するだけである。
バリュー株とグロース株の分類は
日本株投資においては不適切
このバリュー株とグロース株の分類について、1つは短期投資のための判断基準であることと、もう1つは日本市場ではあまり適切でないとの見解を述べておく。
短期投資のための判断基準だと考える理由は次のとおりである。
PBRが低いことは企業経営が良くないことを意味し、経営者のクビが飛びかねない状況を示している。アメリカ市場においてはそれが危機意識となり、経営者が頑張り、株価の上昇をもたらす可能性が高くなる。