一方の企業は、貸借対照表の純資産に100円を記帳する。純資産は、会社が解散した場合、貸借対照表に記載された金額を大幅に下回る不良資産などがないとすれば、基本的に株主に分配されることから、株主資本とも呼ばれる。
株価は株主が期待する利益率と
企業の利益率の関係に基づき変動する
(2)は、企業が10%の事業利益率を実現している状態を示している。つまり100円の純資産(株主資本)が10円の利益を生み出している。ここで企業は事業のための新規投資をせず、10円の利益のすべてを配当に回すと想定する。また、この状態が永遠に続くとする。
これを株主から評価するのなら、企業が生み出す利益すなわち配当に対する割引率(株主の期待利益率)は10%だから、配当割引モデルの公式により「10÷0.1=100」となり、株式の価値は100円と求められる。
まとめると、貸借対照表の純資産は100円であり、その価値すなわち株価は100円であるから、PBRは1倍となる。
(3)は、企業の事業利益率が8%に低下した場合である。100円の株主資本から株主が受け取る利益、すなわち配当は8円に低下する。
一方、株主から企業を評価するに際し、期待利益率は当初の10%のままだから、株主資本の価値(株価)は80円に低下し、PBRは0.8倍に下がる。