勝ち筋は鮮度と流通にある
もう規格に縛られなくていい

堀江 でも、本当にそうですよね。トウモロコシとか、もぎたてはめちゃくちゃうまいですよね。甘い品種だとスイカよりも甘いかもしれない。でも、1日経つと普通のトウモロコシと同じ味になってしまう。多分、糖がデンプンに変化してしまうんでしょうね。久松さんは「久松味」と呼ばれるようなおいしい野菜を作っていますが、何か他の野菜と違いがあるんですか。

久松 今、バジルで体験していただいたように、野菜は鮮度が命です。だから、採ったらすぐに消費者に送ることが大事。それと、やはりおいしい品種選びが肝です。うちは直販なので、流通の規格に縛られずにおいしさだけで品種を選ぶことができます。今は100種類くらい自分の好みの品種を育てていますね。

堀江 流通に乗せることを考えると、規格は大事ですよね。都市部の人口が増えつつあった時代は、スーパーマーケットなどに円滑に商品を流通させるために規格が必要でした。

久松 そうですね。個々の農家は小規模で、JAがロットをまとめて流通させるので、一定の規格を決めておかないと産地の統一感が作れない事情もあります。生産体の規模が十分に大きく、量販店と1対1で取引できる状況だったら、話し合いで決めればいいので流通規格は必要なかったかもしれません。