堀江 種類が多いと面倒くさいですよね。全部、作り方が違うから。だから、例えば「ジャガイモだけ作ります」というほうが楽ですよね。
久松 栽培品目を絞ったほうが効率化のための機械投資がしやすいんです。作る品目が多いと、投資先が分散するので機械化しにくい。メニューがやたら多い飲食店と一緒で、オペレーション効率が悪いんです。
やがて「Xデー」が来る
団塊世代と農家がいなくなる日
堀江 今、ちょうど団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になっているじゃないですか。その世代の農業従事者が一番多いわけですよね。団塊の世代があと10年くらいでどんどんいなくなっていくので、今後10年でハードランディング的な何かが起こる気がします。
久松 そうですね。僕らの仲間は「Xデー」と言っているんですが、雪崩をうったような感じで農家がなくなると思います。
堀江 うちのおじさんたちも後期高齢者で、子供が3人いるのに誰も農家を継いでいないんですよ。みかん山とかそのままになっています。
久松 農業って、街で店舗が空くのと違って、面積が広いので畳むのがすごく難しいんですよ。しかも、みんなで一斉にやめるわけではなくて、だんだんといなくなる。残っている人には行政コストもかかるわけです。だから、そのへんをどうするか議論をしなくてはいけない。でも、その前提として「農家が減ってもいい」ということを認めなければいけないんですが、農林水産省もなかなか言えないんです。