「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
親に感謝はしているけど、お願いもしたい
「頼んだもの、なんで買ってきてないの? しっかりしてよ」。親に依頼した買い物が完遂されていないことを指摘する声かけです。皆さんのような現役世代は目まぐるしい毎日を過ごしていますから、猫の手も借りたいときに「しっかりしてよ」と言いたくなる気持ちはわかります。
しかし、このような声かけをしたところで、親の気分を害するだけです。「もう、頼みごとをしないで!」とそっぽを向かれてしまう可能性もあります。ここで押さえたいのは「忘れたことに悪気はない」ということです。
高齢化とともに認知機能が低下して「覚えたくても覚えられなくなる」のです。「自分の親にもそのときが来たのだ」と、おおらかな気持ちで親のもの忘れを受けとめられるといいですね。
そのうえで伝えたいのは「お母さん、元気でいてくれてありがとうね。メモを持って一緒に買い物に行こう」という声かけです。このように、もの忘れを一切責めることなく「感謝」されたら、どんな気持ちになるでしょうか? きっと、うれしさと切なさを同時に感じるはずです。
そうなれば、親の心は2倍動き、記憶に残るポジティブな出来ごとになるでしょう。親との残り少ない日々を、できるかぎり幸せな思い出でいっぱいに満たしてください。