「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。

親子Photo: Adobe Stock

親からの無茶なお願いに困ってしまう

「そんなことを言われても、私も困るんだけど」。親子のあいだで「意見の食い違い」があり、問題が解決しない場面で出てくるひと言です。

 たとえば、毎月仕送りをしているが、「足りないからもっとお金を送ってほしい」と要求されたときや無理難題をふっかけられたときがそうでしょう。子どもとしてはすでに「精一杯のサポート」をしていたりします。

 それにもかかわらず、要求が高くなると「なぜ満足しないのか」と親を問い詰めたくなることもあると思います。しかし、親は自分の考えを通したいという思いが強いですから、埒が明きません。

 このように、切り返しに困ることを言われたときは、そのまま返すのがおすすめです。たとえば、「そっか。〇〇だと思っているんだね」と、親の考えを理解したことだけ伝えてください。

 親のわがままをすべて聞くことは不可能です。だからといって、無視したり、適当にあしらうのも違います。ですから、「考えはしっかり理解しているよ」ということだけ伝えてください。

 親も自分がわがままであることを心のどこかではわかっています。わかっていても言いたくなるのです。正面から反論しても事態は悪化するだけですから、受け入れることだけに専念しましょう。「親の気持ちを無下にしているわけではない」それだけできれば100点です。