2024年の全国158万社のメインバンクとしての取引社数は、圧倒的にメガバンクが優位性を誇る。だが、メインバンクの社数増加率は、進境著しいネットバンクを除くと信用金庫の頑張りが目につく。なかには、地銀に匹敵するメイン取引社数5000社超も13信金あった。コロナ禍でダメージを受けた企業の成長支援から事業再生まで、信金の力量次第で地域経済の成長にも差が出そうだ。(東京商工リサーチ情報部 後藤賢治)
全国254信金の預金量は
メガバンク1行と同水準
全国に信用金庫は254信金ある。全国の信金を束ねる信金中央金庫によると、全国に254金庫の預金量は合計161兆円に達し、合計額はメガバンク1行と同水準だ。
信金は、地域の会員や利用者が相互扶助を目的とした協同組織であり、収益が重視される株式会社の銀行とは異なる。そのため、地域社会の利益を優先し、営業地域は一定の範囲に限定される。会員から総代が選ばれ、理事選任などの重要事項を決議する最高意思決定機関の総代会が形成されている。
信金の総代は、大半は各信金のディスクロージャーに記載されている。一般的には、区域ごとの総代数と氏名が記載され、地元老舗企業の代表者などの名士が名を連ねる。
かつて筆者が、信用不安が流れた企業を調査した際、ある信金の担当者は「総代だから大丈夫」と断言した。確かに総代を務めている企業の倒産は、ほとんど聞いたことがない。