自公連立の枠組み拡大する可能性、国民民主を引き込むキーマンとは1979年、総選挙責任問題などで話し合う現職首相の大平正芳(左)と前首相の福田赳夫。同年の2人による「40日抗争」は現職首相の強さを象徴した。首相の石破茂は選挙後、そうした強さを見せることができるのだろうか Photo:JIJI

「野党側の準備が整わないうちに決着をつける」(自民党選対幹部)――。自民党が狙った前例なきスピード選挙の思惑は完全に裏目に出た。政治資金パーティーを巡る裏金問題に対する有権者の反発は想定をはるかに超えた。しかもその影響は連立政権を組む公明党にも及んだ。

「おわび」と「発言のブレ」は典型的な負けパターン。大手メディアが最終盤に実施した情勢調査に基づく記事の見出しが自公苦戦の状況を浮かび上がらせた。

「自公、過半数微妙な情勢」(朝日新聞)、「自公、過半数割れも」(産経新聞)、「与党過半数は微妙」(共同通信)。

 首相石破茂は周辺に「自公で過半数(233議席)を割ることはないだろう」と漏らしていただけに衝撃は大きい。多数の裏金議員の存在が指摘された旧安倍派の候補は公認を巡っても厳しい状況に追いやられた。自らまいた種とはいえ、公認権を行使した石破に対する恨みに近い感情は「石破降ろし」を誘発する可能性がある。