貯金を切り崩すとき
知らないと損する「鉄則」

 一度払い込んだ保険料を老後に受け取る年金方式が、必ずしも得するとは限りません。利率、保険料を払い込んでいる期間の生命保険料の控除(所得控除)、受け取り時に支払う税金などを総合的に考えて、損をしないようしっかり計算することです。

 年金として保険料を受け取るときに税金がかかりすぎるならば、金利上昇中の貯金のほうがいいことになります。

 もちろん、貯金の切り崩しには注意点があります。インフレが続くと、お金の価値が目減りするため、その影響を考えて計算しなければなりません。物価が5%上がった場合、毎月5万円を口座から引き出していたとすれば足りなくなります。これまで通りの日用品を購入すれば5万5000円が必要になり、口座からこの金額を引き出さなければならなくなります。

 将来の貯金額は、単純に毎月5万円X12ヶ月X20年と考えて設定するのではなく、物価が上がり続けることも考えて、余分に貯金をしておかなければならないということです。

 幸いなことに、今後は金利が上がることが予想されます。ただ、考えないといけないことは、貯金が底をつかないよう口座から預金を引き出し続けられる「期間」を少しでも長くすることです。利息が増えたからといって、その分を物価高対策用として消費に充てずに、引き出し期間を延長できるようにしましょう。

 たとえば金利ゼロで、65歳から2000万円を毎月約8万円ずつ取り崩す場合、単純計算で月8万円×12カ月×20年=1920万円となります。20年後の85歳時点で残金は80万円しかなく、86歳で底を尽く計算になります。しかし金利上昇中は、その分が増えるため、何年間も資産寿命が延びる計算になります。