いつ、しっぽを失くした?
しっぽ喪失において重要な化石
では、いつから我々ヒト上科にはしっぽがないのだろうか。
そのヒントを知るべく化石記録を紐解こう。ヒトへと至る進化の道のりをきわめて大雑把に描いてみると、図3-5のような感じになる。まるで大きな木から色々な枝がにょきにょきと伸びていくように、様々な枝が現れ、途中で途絶える枝もある。少し分かりにくいかもしれないが、我々ヒトに至る枝への流れを見ていると考えてほしい。
これまでの研究から、霊長類という枝はまず曲鼻猿類(曲鼻亜目)と直鼻猿類(直鼻亜目)という2つに分かれたと考えられている。曲鼻猿類というのは、ごく簡単に言ってしまえば「一見するとあまりサルっぽくない霊長類」であり、マダガスカルに棲むキツネザルの仲間やアジア・アフリカに棲むロリスの仲間などが含まれる。
ヒトに向かう枝は直鼻猿類の方である。こちらもさらに大きく3つのグループに枝分かれしており、メガネザル類(メガネザル下目)、広鼻猿類(広鼻下目)、狭鼻猿類(狭鼻下目)とが含まれている。