AIやデジタル技術の進化に伴い、リスキリング(学び直し)の重要性がますます高まっている。特に、政府が2025年までにリスキリング支援に1兆円を投入する計画を掲げる中、教育訓練給付金や新設される教育訓練休暇給付金など、労働者が活用できる支援制度が大幅に拡充中。今回はこれらの最新制度を詳細に解説し、どのようにキャリアアップや転職活動に役立てることができるかを紹介する。(社会保険労務士 井戸美枝)
政府が5年で1兆投入!
充実してきた「リスキリング支援」
現在、AIなどのデジタル技術が目覚ましい進化を遂げており、労働者の失業が懸念されています。さらに世界的なDX(デジタルトランスフォーメーション)に対応できるデジタル人材の不足も課題になっており、こうした事情から社会的に「リスキリング(学び直し)」が注目を集めています。
実際、2022年に政府は「人への投資」と称して、リスキリング支援などに5年で1兆円を投入する方針を掲げました。他にもリスキリング関連の制度の改正は以下のように頻繁に行われています。
・2024年10月 教育訓練給付金 一部引き上げ
・2025年4月 基本手当(失業給付)の要件緩和
・2025年10月 教育訓練休暇給付金の創設 休職しても賃金の一定割合が支給される
・2028年10月 雇用保険の加入要件緩和 所定労働時間が週20時間から10時間に
こうした施策が実施され、学び直しにまつわる公的な支援制度が充実しつつあります。主なものを以下の図1にまとめました。
筆者も金銭的な支援は今が最も充実していると感じており、リスキリングに興味がある人はこの表にあるような国や自治体、企業から「もらえるお金」を積極的に取り入れてみてほしいと思っています。
次ページ以降で会社に勤めている人が活用できる支援を中心に、実際にどういった場面で活用できるのか、支援はどれくらいかなど、具体的にご紹介します。
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