例えば女性用の化粧品の場合、ヘアケアからスキンケア、ボディケアまで、市場規模がはっきりしているジャンルというのはそれほど多くありません。肌の悩みなら、シミ、しわ……と挙げていっても、悩みの数はある程度、限られていますから、マトリクス化もすぐにできてしまう。ですから、成功事例を見て、「これは当たる商材だ」と追いかけることになるのです。
しかし、「売れている商品の差別化」は、戦略としては簡単ですが、限界はすぐにやってきます。
成功したいくつものケースを模倣して工夫を加え、少し差別化を図ったとしても、新規参入しようとしている他社も同じタイミングで同じことを考えています。先行して参入しているライバルたちも同様です。
悩みに応える商品を提供する事業者が1社しかなければ、必ず選んでもらえるかもしれませんが、100社が商品を提供していれば、女性は自分に合う商品と出合うまで、短期間に次々とさまざまな商品を試していくので、各社の「分け前」は減ってしまいます。つまり、CPO(新規注文1件当たりの広告費)は上がり、LTV(顧客1人当たりの生涯粗利<売上>)は下がる、というわけです。
そこで勝つために各社が始めるのが、「初回価格を下げる」「継続価格を下げる」という対策なのですが、当然、採算は悪化していきます。
しかし、どんどんマネーゲーム化していく価格競争に耐え得るのは、資金力のある事業者だけです。耐えきれない事業者は撤退するほかありません。成功事例を見て、「これは当たる」と夢見ながら、このサイクルの中に次々と入っていく事業者が今なお後を絶ちません。
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エレファントが応援しているクライアントの中で長期的に通販事業を続けているのは、この意味を理解して取り組んでいった会社だけです。
商品企画の原点が「じぶんごと」であれば、顧客が求めているものを顧客の視点から考え、かゆいところに手が届く商品を作ることができます。顧客から「お金を払うだけの価値がある」と認めてもらえる商品の開発につながるのです。
「じぶんごと」からスタートした商品だからこそ、独自性のある集客やCRM(顧客関係管理)を構築し、実現することができるのです。
3つの課題から開発テーマをつくる
では、「じぶんごと」商品とは何か?
「じぶんごと」といっても、いったい何をどう振り返ればいいのか?
どうやって具体的な商品にたどりつけばいいのか?
これについてしっかり悩み、とことん考え、突き詰めることにちゃんとエネルギーを投入し、開発動機をもって取り組むことが最も重要です。
これを発見していくためのフレームワークとして僕が提唱したいのが、「PFS」です。