PFSとは、次のような3つの課題です。

 P(Personal issue)=じぶんの課題
 F(Family issue)=家族の課題(ペットを含む)
 S(Social issue)=社会の課題

 エレファントが得意とする化粧品、医薬品、健康食品に特化して考えるなら、ポイントは「カラダ」と「こころ」です。

 最初に手掛けた敏感肌用ベビーせっけん『nico(にこ)せっけん』はもちろんのこと、腎臓の弱った猫にも安心なおやつ『neco‐ri(ねこり)』も、その開発動機は、僕たち家族の悩み(課題)でした。

『nicoせっけん』は、まだ3歳だった娘が皮膚科でアトピーと診断されたことをきっかけに開発した商品です。皮膚科で処方されたステロイド剤で一時的に良くなりますが、またじきに肌荒れが起こり、またステロイド剤を塗る……その繰り返しでした。

 この先いつまで薬を使い続けることになるのだろうか、それが成長するにつれて何らかの問題にならないだろうか……という不安や焦りが募るのも辛いことでした。課題が、「カラダ」にも「こころ」にも関わるわけです。

 自分や大切な家族や大切な誰か、大切なペットのためという「じぶんごと」でなければ、悩みや困り事の細かい点まで理解することも、当事者にとって本当に必要なものは何なのかを考え抜くこともできません。さらに、悩みの解決を体感できる商品の開発にもつなげることはできません。

 売れているものを模倣することに意味がなく、実感のない「他人ごと」の商品企画にオリジナリティがない理由は、ここにあります。

 これを踏まえて、P=じぶんの課題、F=家族の課題、S=社会の課題と、それに関わる「カラダ」の部位(肌、頭皮、髪、胃腸、ひざなど)と、「こころ」にかかる負担も網羅してマトリクス化すると、商品企画に向けて考えを整理し、構築していくことができます。

 シートを埋めていく作業によって、自分の興味、関心、開発動機がどこに位置しているのかが明確になり、取り組みたいテーマを仮説的に決めることができます。

(※本稿は、山口武著『どこにも居場所のなかった僕が見つけた「じぶんごと通販」の起業戦略』から一部を抜粋し、再編集したものです)

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