「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#20は、精密機器26社の業種別ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
レンズ最大手のHOYAが最高益
精密機器の「最強」オーナー企業は?
HOYAが10月31日発表した2024年4~9月期決算(国際会計基準)では、純利益が前年同期比17%増の1000億円となった。同期間では最高益となった。非常に微細な半導体の製造工程であるEUV(極端紫外線)露光工程に必要となるEUVマスクブランクスの需要が高水準で推移し、業績を押し上げた。
1941年に東京都保谷町(現西東京市)で山中正一氏と茂氏の兄弟がHOYAの前身となる東洋光学硝子製造所を創業。光学ガラス製造を始めた。HOYAの名称は、保谷に由来する。
前CEO(最高経営責任者)の鈴木洋氏は、山中兄弟から孫世代に当たる。中興の祖は、鈴木氏の父である哲夫氏で、84年に社名を現在のHOYAに変更し、高収益企業に育て上げた。HOYAは08年にはカメラ大手のペンタックスと経営統合した。鈴木洋氏は22年に20年超にわたったCEOの座を池田英一郎氏に譲り退任している。
では、HOYAをはじめとする精密機器で最強のオーナー企業とは。ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。
ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。
下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。
次ページでは、オーナー企業ランキングの精密機器26社の業種別ランキングを一挙に公開する。セイコーグループが21位、タムロンが3位に。HOYAは何位だったのか。