『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え』の著者で、資産20億円で“日本のバフェット”といわれる藤本茂さん(シゲルさん)。為替の動向については「考えすぎないほうがいい」という。その深い理由とは? 値動きの激しいIPO株に積極的に挑んでいる理由も明かした。(ライター 松田小牧)
10月23日に上場した
東京メトロ株にも参戦
シゲルさんの投資は、原則として「増収・増益・増配」で長期的に業績が伸びていくと信じられる企業の株を買い、買いどき・売りどきを見極めて利益を取っていくやり方だ。その一方で、上場したばかりで評価がまだ定まっておらず、値動きも荒い銘柄に資金を投入するIPO(新規上場株・新規公開株)投資にも積極的に挑んでいる。
「2024年最大の上場」として話題を呼び、10月23日に上場した東京メトロ株にも参戦。同株は公開価格1200円に対し、初値は1630円と、公開価格を35.8%上回った。
通常、「この価格であれば買い」「この価格であれば売り」と価格を指定して注文する指値注文を中心とするシゲルさんだが、東京メトロ株に関しては知名度や収益性の高さ、配当利回りから、「買い注文が集まるだろう」と判断し、寄り付き時点で成行注文。シゲルさんは、このような「どうしてもいまこの局面で買わなければ、すぐに上がってしまうことが予想される株」だけは、そのときの価格で約定する成行注文を実施する。
もくろみ通り、同株には買いが集まった。そして同日のうちに、1720円で売却。「もうここまで来たら割安感はない。あとはいったん見てるだけやね」とつぶやいた。
シゲルさんは、IPO株に参戦する期間を「まずは3日間」と決めている。
「どんなIPO株も、3日間は注目が集まって株価が動く。でも、3日もたてば出来高が細り、株価が落ちていくケースが多い。これを私は『IPO、3日たてばただの株』と言っている。もちろん本当に良い株はそこからまた上がっていくこともあるけど、初値が高かったからといって期待しすぎると痛い目を見るよ」
実際、東京メトロ株は上場3日目となる10月25日に初値を割った。