米大統領選でトランプが
「想定外」の圧勝
米国の大統領選挙が11月5日(現地時間)に行われ、共和党のドナルド・トランプ候補が勝利した。
筆者が本稿を執筆している11月11日(日本時間)午前の時点で、大統領を選出する選挙についてはすべての開票結果が出ており、トランプ候補が獲得した選挙人の人数が312人、民主党のカマラ・ハリス候補が226人(過半数は270人)ということで、前者の圧勝であった。また、激戦州と呼ばれる7州すべてでトランプが勝利し、「圧勝感」をさらに際立たせた。
同時に行われた議員選挙は現時点では全結果は判明していないものの、上院は共和党が53議席、民主党が46議席で、前者は4年ぶりに多数派のポジションを奪還した。注目される下院(過半数218)は、日本時間11月11日8時時点で、共和党が213議席、民主党が203議席、残り19議席という状況で、こちらも共和党が優勢に進めている。
このまま下院でも共和党が勝利すれば、大統領、上下院という3つの統治機構を特定の政党が支配する「トリプルレッド」と称される局面が出現する。そうなれば、政策の実行、法案の採択を含め、トランプ新大統領は自らの思惑どおりに政権運営が断然しやすくなる。
筆者が日本や米国のウォッチャーや市場関係者らと議論をしてきた限りで言えば、ハリス勝利を予測していた方々はさておき、トランプ勝利を相当程度確信していた方々に関しても、「勝つとは思っていたが、ここまで圧勝するとは予想できなかった」「結果が出るまでに2~3日かかると思っていたが、当日に決まってしまうとは正直想定外だった」といった声がほとんどであった。
ハリスが大敗した理由に関しては、やはり過去4年のバイデン政権に対する有権者の「審判」という側面が大きかったのだろう。インフレ抑制や不法移民の流入阻止といった政策で、民主党支持派を含め、国民が納得するような政策を打ち出せず、民主党候補がバイデンからハリスにシフトした後も、そんな現状を打開する対策を打ち出すことができなかった経緯が強く作用したのではないかと思われる。