金谷実・すかいらーく社長Photo by Shuntaro Sawa

ファミリーレストラン最大手のすかいらーくホールディングスが、九州地盤のうどんチェーン、資さんうどんを買収した。実は、外資系ファンドによる再建を経て2014年に再上場を果たした同社にとって、M&A(企業の合併・買収)は再上場後では第1号となる。同社は、今春に発表した25年度から3カ年の中期経営計画で3~5件のM&Aを実施する方針を掲げ、自前路線から軸足を移している。ダイヤモンド編集部は金谷実社長を直撃。再上場後初となるM&Aで資さんうどんを選んだ理由に加え、今後のM&A候補について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 澤 俊太郎)

九州のローカルブランドを買収
地方ロードサイドの「切り札」に

――九州が地盤のうどんチェーン、資さんうどんを買収しました。2014年に再上場してから初めてのM&Aですが、狙いをお聞かせください。

 資さんうどんは、うどん専門のみならず、丼ものやおでん、デザートなど幅広い商品を取り扱っていて、店舗も比較的大きいです。ある意味和食ファミレスみたいなポジショニングにあって、すかいらーくに欠けている点を持った非常に強いブランドということで、ぜひパートナーになりたい、と。

 商圏人口が減ってきている中で、すかいらーくの地方のロードサイド店舗も厳しくなってきています。転換先のブランドとして非常にマッチしていて、そういった意味では一つ、「切り札」ができたかなと思っています。

――今春発表した3カ年の中期経営計画では3~5件のM&A(企業の合併・買収)を進めていくと発表しました。これまでは、自社ブランドを成長させて業績を伸ばしてきたスタイルからの大きな転換になります。

 やっとそういうステージになったのだと思います。14年に再上場したとはいっても、長らくはファンドの経営下にありました。ファンドの傘下だと長期的な先行投資もなかなか難しく、18年にやっとファンド傘下から外れましたが、その直後に今度はコロナ禍が直撃して、足止めを食らってしまいました。

 それでもコロナ禍で増資もして、資金的に余裕もできたということもありますし、業績も回復できてきたタイミングで、これまでできていなかったM&Aや海外への本格進出を計画に入れて、実行に移すステージに来たという感じです。

――今後のM&Aですが、資さんうどんのようなローカルチェーンがメインになるのでしょうか。

本格的なM&A戦略に乗り出したすかいらーく。全国のロードサイドなどに多くの店舗を持つすかいらーくグループがメインターゲットに据えるのはどこか。次ページでは、金谷社長がM&Aのターゲットを明らかにする。また、主力ブランドであるガストの今後の出店戦略について、ライバルとなる競合企業の実名にも触れながら明らかにする。