駐車場とトイレしかないのに、やたらと駐車場が広いPAは何のため?

 さて、このように利用者のニーズの多様化に合わせて“レジャー施設化”が進むSA/PAですが、東日本の山沿い、さらに北日本には、駐車場とトイレしかないPAが点在しています。中には「こんなところにこんなに広い駐車場を設けてどうするんだろう?」と感じるところもあります。

 実はこうしたPAの主な目的は、冬期間の降雪対策です。東日本の山沿い、北日本などの降雪地帯では、冬期間のスタッドレスタイヤ装着が推奨されていますが、日本の高速道路は積極的に除雪を行うため、豪雪地帯以外は雪が降りしきっている中でなければ路面に雪がないコンディションとなることが多く、サマータイヤでそのまま走るドライバーが後を絶ちません。

 しかし不意の雪や低温による路面の凍結があると、サマータイヤでの走行は大きな事故の原因になってしまいます。そのため、降雪地帯にかかる高速道路の一部では、気象状況に応じ、走行中の全車をSA/PAに誘導し、スタッドレスタイヤ装着の有無の確認を行い、未装着のクルマにはタイヤチェーンなどのすべり止め装備を指導します。

 これらの広い駐車場を持つPAは、冬期間にその確認の場所およびチェーン装着場として機能するために設置されているのです。

NEXCO東日本のSAPA検索NEXCO各社のウェブサイトでは、地図や名称、都道府県などからSA/PAを検索できる。ゆとりあるドライブのためにも、事前の確認をおすすめしたい 出所:NEXCO東日本 拡大画像表示

 このように次世代型、ハイウェイオアシス、また降雪時の対策として用意されたものなど、バリエーションに富んだSA/PAですが、高速道路の本線で素通りしていると、なかなかその中身が分からないものです。最近はSA/PAでしか食べられないご当地・限定グルメも増えていますし、温泉の日帰り入浴があるところ、ホテル併設のSAなどもあります。

 NEXCO各社のウェブサイトには、これら施設の詳しい情報が掲載されているので、ドライブを計画する際は、ルート上にどんなSA/PAがあるか、そこではどんなグルメが楽しめるのか、事前に確認してみるのも楽しいと思います。

東北自動車道の羽生PA(上り)の江戸グルメ東北自動車道の羽生PA(上り)は、池波正太郎『鬼平犯科帳』をコンセプトに、江戸の町並みを再現。江戸グルメが楽しめるお店を集めている 出所:鬼平江戸処特設サイト 拡大画像表示

→前編はこちら:【何がどう違う?】サービスエリアとパーキングエリア「目からウロコ」の使い分け方」